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家は自分でつくるもの

 自給自足は「食」だけではありません。他に衣と住もあります。アフリカの観光パンフなんかには機織りしている女性の写真があったりしますが、さすがに現在は布を織って衣服を作ることはないようです。私が住んでいる地域にも和綿をつくっている方がいますが、一着の衣服をつくる手間と時間を考えると頭がくらくらして私には敷居が高すぎます。

 で残る住。実はこれ私の得意分野です。私が師と仰ぐ長野のハセヤンは「家は自分でつくるもの」だと断言します。私も同感でセルフビルドは実に楽しいのです。とくに山小屋づくりなど自然の中で作業していると最高の癒しではないかと思います。そんな面白いものを他人に任せるなんてもったいない。ハセヤンの言葉の真意はそれです。

 もうひとつハセヤンの言「家づくりにいちばん必要なのは、ほかでもなく、仲間」。資金とか技術とか、家づくりは敷居が高いと思うでしょうが、意外にそうでもないのです。アフリカの村では山刀一本で木を伐り出し穴を掘り泥を塗って家を作ってしまう。日本の農家も畜舎や倉庫を自分で建てるのはよくあることです。材料はそこら辺にあるもので十分なのです。木でも石でも粘土でもいい。技術的にもそれほど高度なものは必要ありません。ローテクでいい。ですから資金なんてのも大していりません。なんですがひとつ重大な問題がある。それは面白過ぎて一人で建てていると時間を忘れてしまう。そうしてしまいに燃え尽きてしまうのです。なので「仲間」が必要なんですね。古来「普請」というように家などはコミュニティの人々が力を合わせて造っていたのです。ちなみにお寺などを大勢がボランティアで作るのが「普請」の語源だそうです。仲間がつくるのが家なのか家をつくるから仲間になるのか。家づくりも奥が深い。

 私のセルフビルド歴も20年を越えていますので、かなり建てましたね。人に頼まれたり手伝ったりしたものを含めると10棟ではきかないでしょう。まあツリーハウスとか山小屋とか小さなものがほとんどで大きなもので建坪が15坪ぐらい。しかし今度、菜園の横に倉庫を建てたら私のセルフビルドもひと区切りです。あとは家具づくりがメインテーマになると思います。

 写真は私の修業時代。セルフビルドの発端になったツリーハウス。縄文ハウスの試作品。芝屋根の東屋。山から丸太を伐り出したり竹で壁を張ったりして燃え尽きてしまったバンブーハウス。